中判デジタルの魅力!「FUJIFILM GFX50R」ファーストインプレッション!
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昨年末、満を持して登場した富士フイルムのミラーレシ中判デジタルカメラ「FUJIFILM GFX50R」。「FUJIFILM GFX50R」は、同シリーズ「FUJIFILM GFX50S」の廉価版でもあり、富士フイルム中判デジタル初のレンジファインダータイプでもある。35mmフルサイズ機の画質を上回る中判デジタル、気になってる人も多いのではないだろうか?
今回はそんな「FUJIFILM GFX50R」をSHOT ON X-FUJIで実写レビュー。使用したレンズは、標準レンズにあたる「フジノンレンズ GF63mmF2.8 R WR」。驚愕の画質をぜひご覧ください。
驚愕のコスパ!「FUJIFILM GFX50R」の基本性能は「FUJIFILM GFX50S」と同等!
「FUJIFILM GFX50S」の廉価版として登場した「FUJIFILM GFX50R」。「FUJIFILM GFX50S」は価格的に手が届かなかった人も「FUJIFILM GFX50R」なら買えるという人も少なくはないのではないだろうか。
実際のところ「FUJIFILM GFX50R」の価格は、(キャッシュバックキャンペーンなどを利用すれば)4000万画素クラスの35mmフルサイズ機とそんなに変わらない。
そして気になる「FUJIFILM GFX50R」の性能だが、基本的には「FUJIFILM GFX50S」と同じ。ただし、ボディサイズは「FUJIFILM GFX50S」と比較するとだいぶコンパクトになっている。また、SNSなどで写真投稿する人にとっては、Bluetoothに対応したことも朗報である。
こちらが「FUJIFILM GFX50R」と「FUJIFILM GFX50S」の性能比較表だ。
FUJIFILM GFX 50R | FUJIFILM GFX 50S | |
---|---|---|
有効画素数 | 5140万画素 | 5140万画素 |
イメージセンサー | 43.8mm×32.9mm (FUJIFILM G Format)ベイヤ―CMOSセンサー | 43.8mm×32.9mm (FUJIFILM G Format)ベイヤ―CMOSセンサー |
画像処理エンジン | X-Processor Pro | X-Processor Pro |
ISO | 常用ISO100〜12800 (拡張ISO50、102400) |
常用ISO100〜12800 (拡張ISO50、102400) |
測光方式 | TTL256分割測光 マルチ、スポット、アベレージ、中央重点 |
TTL256分割測光 マルチ、スポット、アベレージ、中央重点 |
AF | TTLコントラストAF | TTLコントラストAF |
連写 | 最高約3コマ/秒 | 最高約3コマ/秒 |
連続撮影可能枚数 | 可逆圧縮RAW13枚、非可逆圧縮RAW8枚 JPEG エンドレス |
可逆圧縮RAW13枚、非可逆圧縮RAW8枚 JPEG エンドレス |
ボディ内手ぶれ補正効果 | 手ぶれ補正付きレンズで対応 | 手ぶれ補正付きレンズで対応 |
動画 | FHD(36Mbps) | FHD(36Mbps) |
メモリカード | ダブル SDカード | ダブル SDカード |
ファインダー | 約369万ドット 0.5型有機ELファインダー | 約369万ドット 0.5型有機ELファインダー |
モニター | 約236万ドット 3.2型(4:3アスペクト)タッチパネル式2方向チルトTFTカラー液晶モニター | 約236万ドット 3.2型(4:3アスペクト)タッチパネル式3方向チルトTFTカラー液晶モニター |
撮影可能枚数 | 最大約400枚 (オートパワーセーブON、GF63mmF2.8 R WR使用) |
最大約400枚 (オートパワーセーブON、GF63mmF2.8 R WR使用) |
内蔵フラッシュ | なし | なし |
通信機能 | WIFI、Bluetooth | WIFI |
大きさ | (W)160.7mm x (H)96.5mm x (D)66.4mm | (W)147.5mm x (H)94.2mm x (D)91.4mm |
重量 | 約775g(バッテリー、メモリカード含む) | 約825g(バッテリー、メモリカード含む)、EVF装着時は約920g |
心地よいシャッター音!フィルムカメラを彷彿とさせる「FUJIFILM GFX50R」のフォーカルプレーンシャッター!
「FUJIFILM GFX50R」には、中判ミラーレス専用に開発されたフォーカルプレーンシャッターが搭載。中判フィルムカメラのPENTAXなどを使ったことがある人は、懐かしいシャッター音にきっと驚くだろ。ちなみに「FUJIFILM GFX50R」は、「FUJIFILM GFX50S」と同様に「FUJIFILM X-H1」、「FUJIFILM X-T3」で採用されている電子先幕シャッターにも対応している。
とは言え、かつての中判フィルムカメラとは決定的に違う点が「FUJIFILM GFX50R」にはひとつある。それはボディが圧倒的に軽いことだ。「FUJIFILM GFX50R」は、ボディサイズこそXシリーズより大きいが、重量はそんなに変わらないように感じる。
こちらの動画は「FUJIFILM GFX50R」と2019年9月に発売予定のパンケーキレンズ「フジノンレンズ GF50mmF3.5 R LM WR」の紹介ムービーだが、「FUJIFILM GFX50R」の身軽さがよく分かる仕上がりとなっている。
シンプルな操作系統!賛否両論わかれる「FUJIFILM GFX50R」の操作性とは?
今回「FUJIFILM GFX50R」に採用された操作系統は「FUJIFILM X-Pro2」ではなく「FUJIFILM X-E3」に近い印象。感度ダイヤルと十字ボタンが無く、シャッター部分にコマンドダイヤルが搭載されている。
このコマンドダイヤルに基本は感度が割り当てられているのだが、これが実は曲者。シャッターボタンのすぐ下にあるため、知らない間に設定が変わっていることが多々あるのだ。設定では、機能の割り当てを変更することも可能だが、感度をダイヤルで変更できなくなるもの正直つらい。
また「FUJIFILM X-H1」もそうだったが、背面の右手親指のグリップにQボタンとファンクションボタンがあるのが難点。特に重量が重い「FUJIFILM GFX50R」では、縦位置に構えた際にグリップをしっかりグリップを握りがち。謝ってこれらのボタンを押してしまうことが多々あるのだ。(右手を上にしてカメラを構える人は、特に問題ないだろう。)
そして、やはり十字ボタンがないのも欠点。十字ボタンのようにフォーカスレバーで操作することも可能なのだが、お世辞でも扱いやすいとは言えない。「FUJIFILM GFX50R」はタッチパネル式だが、基本的な操作(縦横の移動や選択)はタッチパネルでは操作できない。ボディをコンパクトにするために仕方がなかったのかもしれないが、この辺りはかなり改善の余地がありそうだ。
「FUJIFILM GFX50R」の脅威の描写力!中判デジタルならではの立体感!
操作性に関しては改善の余地がある「FUJIFILM GFX50R」だが、画質に関しては圧倒的。
センサーがAPS-CサイズのXシリーズでは、開放付近での描写は立体感がありとても美しいのだが、絞り込んだときや、広角系レンズでのパンフォーカス時の細部の描写がいまいちなことが多い。拡大しなければ気にならない点でもあるが、大判プリントする際はどうしても解像力が少し足りない。
その点「FUJIFILM GFX50R」は、かつての中判フィルムを超える綿密な描写が得られる。解像力が高いこともあってパンフォーカス時の立体感もXシリーズとは比べものにならないくらい美しい。遠景や風景写真には最適なカメラと言えるといえるだろう。
GFレンズは、Xシリーズと比べるとかなり大口径。今回使用した「フジノンレンズ GF63mmF2.8 R WR」は開放値F2.8とXFレンズの感覚では暗いイメージがある絞り値だが、実際に使うとF2.8は紙一枚くらいのピント幅しかない。それほど開放付近では立体的にボケる。ボケ方の印象としてしては、実際の値よりも2、3段明るいXFレンズを想像するとイメージしやすいかもしれない。(厳密にはレンズの被写界深度が全く異なるので、描写は別物。)圧縮された画像ではいまいち分かりにくいかもしれないが、綿密な描写は圧倒的である。
しかしセンサーサイズが大きい反面、「FUJIFILM GFX50R」の電子シャッターによるローリングシャッター現象は顕著だ。フォーカルプレーンシャッター(メカ)は安定するが、手ブレがとても起きやすい。電車先幕シャッターの使用も可能だが、1/1000以上のような高速シャッタースピードになると、露出ムラやボケ崩れが発生する。「FUJIFILM GFX50R」ではXシリーズのカメラよりも状況によってシャッターをうまく使い分ける必要がある印象だ。(「FUJIFILM GFX50R」のメカと電子シャッター、電子先幕の組み合わせでは、1/640までは電子先幕シャッター、それより高速側では1/4000まではメカ、さらにそれ以上は電子シャッターとなる。)
三脚があった方が安定する「FUJIFILM GFX50R」だが、中判サイズのカメラのスナップ写真はとても魅力的。「FUJIFILM GFX50R」を手にする機会があれば是非手持ちを試していただきたい。
デジタルを感じない階調!「FUJIFILM GFX50R」のダイナミックレンジ!
もう一点Xシリーズとの違いが顕著なのは、ダイナミックレンジ。一般的にセンサーサイズが大きくなるとダイナミックレンジも広くなると言われるが、富士フイルムのデジカメの場合この差は大きい。最低感度がISO160-200なXシリーズは、DR400設定を使用するのにISOを、640-800くらいにあげる必要がある。特に晴天時の撮影では、明るいレンズを開放で使おうと思うと電子シャッターでも露出オーバーになることがある。
その点「FUJIFILM GFX50R」は最低感度がISO100なので、ISO400でDR400が使用できる。そしてこれこそがまさに「フィルムライク」なのだ!ラチチュードの広いISO400(DR400)はISO400のネガカラーのように、ラチチュードの狭いISO100(DR100)はリバーサルフィルムのように使用できる。フィルム離れがなかなかできないフォトグラファーにはうってつけのカメラなのだ!
ベイヤーCMOSセンサー欠点!「FUJIFILM GFX50R」とXシリーズの決定的な違い!
現在のXシリーズをXシリーズたらしめているのは間違いなく「X-Trans CMOSセンサー」の功績によるところが大きい。富士フイルム曰く「X-Trans CMOSセンサー」は、車のエンジンで言う過給機(ターボ)に近いという。2400万画素クラスの解像感を3000万画素クラスに感じさせる効果があると言われている。そして副産物として、ローパスレスのカメラに付き物であるモアレや偽色を軽減してくれる。
それに比べて「FUJIFILM GFX50R」とには、ベイヤータイプのセンサーが搭載されてる。なぜ「X-Trans CMOSセンサー」ではないのか?と思う人も多いと思うが、その一番の理由には、もともと高解像度のセンサーを搭載しているGFXシリーズは、Xシリーズとは違い解像度をブーストする必要がない。というのが一番の理由らしい。それよりも、消費電力を減らしたり、処理スピードを上げる方が重要だったという富士フイルムの話も納得がいく。
しかしこれによってGFXシリーズは「X-Trans CMOSセンサー」の副産物の効果も得られなくなってしまった。つまり「FUJIFILM GFX50R」やGFXシリーズは容赦なくモアレが発生する。もちろんLRなのど現像ソフトでモアレはある程度除去可能だ。しかし、撮って出しJPGが魅力の富士フイルムのデジカメでモアレが出るというのは、かなり痛い。
解像度の違いにもよると思うが、第一印象ではXシリーズとGFXシリーズは全くの別物という印象だ。やはり「X-Trans CMOSセンサー」搭載のXシリーズはよりフィルムライクな写真を撮れるイメージだ。逆にGFXシリーズは高解像だが、従来のデジカメに近い印象。富士フイルムはセンサーサイズ違いでカメラの優劣をつけないと言っているが、まさにそれが現れている。Quality(質)のXシリーズ、Quantity(ボリューム)のGFXシリーズ。用途に合わせて使いわけるのがおすすめだ。
「FUJIFILM GFX50R」はこんな人におすすめ!
「FUJIFILM GFX50R」は決して安いカメラではない。しかし昨今の40Mの35mmフルサイズミラーレスカメラやレンズの価格を考慮すると、高すぎるわけでもない。実際、フルサイズミラーレスカメラ用のキャノンのRFレンズ関してはGFレンズと価格はあまりかわらない。また2019年から登場するニコンのNoctシリーズやフラグシップレンズも高価になることは間違いないだろう。これらを考慮すると、よりクオリティの高い写真を求めるなら、少し高価になるが画質も描写も一段階グレードアップする中判デジタルである「FUJIFILM GFX50R」やGFXシリーズを選択するのも一つの手だ。
機動力が必要なときはAPS-CサイズのXシリーズ。画質が必要な場合はGFXシリーズと、撮影内容に応じてカメラを使い分ければ、35mmフルサイズのみを使用している人に比べ表現の幅が広がるのは間違いない。
そして忘れてはいけないが、「FUJIFILM GFX50R」やGFXシリーズには「35mmフォーマットモード」という約3000万画素の35mmフルサイズカメラとして使用できるモードも搭載されている。サードパーティ製のマウントアダプターを使用すれば、ライカMマウントやニコンFレンズ(絞り付き)、キャノンFDレンズなども使用可能だ。(別の記事で「FUJIFILM GFX50R」の35mmクロップモードでオールドレンズ「ZEISS C Sonnar T* 1.5/50 ZM」を実写レビューしたので気になる方はこちらもチェック!「SHOT ON FUJIFILM #11 富士フイルムでフルサイズ!?GFXシリーズでオールドレンズを試してみた~50mm編~」)
「FUJIFILM GFX50R」は、プロだけのカメラではない。おそらく現存する中判デジタルで初めてアマチュアなど趣味目的のユーザーにも開かれた中判デジタルである。是非機会があれば一度手に取っていただきたい。
「SHOT ON FUJIFILM」の一覧
- SHOT ON FUJIFILM #1「FUJIFILM X-Pro2」と「XF10-24mmF4」美術館で使ってみた!
- SHOT ON FUJIFILM #2 ダイナミックレンジを検証!「フジノンレンズ XF10-24mmF4」の撮影術!
- SHOT ON FUJIFILM #3 花の写真で徹底分析!「FUJIFILM X-Pro2」のフィルムシミュレーション!
- SHOT ON FUJIFILM #4 個性派必見!富士フイルムXシリーズで楽しむオールドレンズ!
- SHOT ON FUJIFILM #5 カメラ初心者に人気!富士フイルムのエントリーモデル「FUJIFILM X-T100」
- SHOT ON FUJIFILM #6 中判デジタルの魅力!「FUJIFILM GFX50R」ファーストインプレッション!
- SHOT ON FUJIFILM #7 フルサイズミラーレスを凌駕!?富士フイルムのミラーレス「FUJIFILM X-T3」
- SHOT ON FUJIFILM #8 フジノンレンズ「XF35mmF1.4」と「XF35mmF2」を徹底比較!
- SHOT ON FUJIFILM #9 スナップシューター必見!唯一無二のデジタルカメラ「FUJIFILM X-Pro3」
- SHOT ON FUJIFILM #10 美しきボケ!「フジノンレンズ XF60mm F2.4 R Macro」実写レビュー
- SHOT ON FUJIFILM #11 「FUJIFILM GFX 50R」でフルサイズ!?-50mmオールドレンズ編-
- SHOT ON FUJIFILM #12 「FUJIFILM GFX 50R」でフルサイズ!?-35mmオールドレンズ編-
- SHOT ON FUJIFILM #13 「FUJIFILM GFX 50R」でフルサイズ!?-85mmオールドレンズ編-
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- SHOT ON FUJIFILM #20 「フジノンレンズ「XF33mmF1.4」と「XF35mmF2」を徹底比較!
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