スナップシューター必見!唯一無二のデジタルカメラ「FUJIFILM X-Pro3」
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Xシリーズ初のチタンボディ搭載。ライカののような物としての存在感がアップした「FUJIFILM X-Pro3」は今やXシリーズの中でも特別な存在となった。
今回のSHOT ON FUJIFILMではそんな「FUJIFILM X-Pro3」のボディやデザインなどハード面の性能を中心に、新調された画質まで一気に解説!
素材感の強くなった「FUJIFILM X-Pro3」のチタンボディ!
まず最初に検証したいのが賛否両論様々な意見が飛び交う「FUJIFILM X-Pro3」のボディ。今回「FUJIFILM X-Pro3」にはこれまでのマグネシウム合金に代わってトップカバーとアンダーカバーにチタン合金が採用がされた。
軽量高強度という言われるチタン。しかしその反面、加工が難しいというデメリットもあるよう。そのためボディの印字がエンボスからプリントに変更されたり、フロント部分の装飾がなくなったりと、デザインが変更された。
そのうえ富士フイルムによると、チタン合金はプレスでの加工が難しいため一部手作業で微調整が行われているそうだ。これにより1つとして同じものはないとアナウンスされている。
フラットなデザインになってより高級感アップ!
「FUJIFILM X-Pro3」のトップカバーのデザインを前面、上面、背面でわけて採点するとしたら、100点以上あげたいのが前面だ。一見似ているとされる「FUJIFILM X-Pro3」と「FUJIFILM X-Pro2」だが、実は前面のデザインはかなり異なる。
つるっとした質感と冷たい肌触りは金属そのもの。一見樹脂のようにも見えなくないマグネシウム合金とは全く別物だ。よりフラットに近いデザインはギミックの少ないレンジファインダーのフィルムカメラみたいに感じる。この辺りの質感は特にX-Tシリーズとはまったく異なる。これの差は使い込んでくと更に顕著になりそうだ。
このことからも「FUJIFILM X-Pro3」は消耗品としてのデジカメと言うより、自分色に染めて長年使っていけるカメラであることが分かる。
マグネシウム合金とチタンの根本的違い!
FUJIFILM X-Pro2 FUJIFILM X-Pro3
一方、上面や背面に関しては発売当初からネットなどで騒がれている「FUJIFILM X-Pro3」が「FUJIFILM X-Pro2」よりもチープに見えると言われてきた。
初見の印象では確かに「FUJIFILM X-Pro3」のボディデザインはエッジが丸くなっておりパッと見ではチープに見える。しっかりと平面が出てなく、たわんでいる部分もあった。(特にボディの加工で気になる部分を挙げるとしたら、ボディ背面の軍幹部と背面の繋ぎ目)しかし、実際に手にしてみるとその考えは180度変わった。
そもそもチタンはマグネシウムのように加工ができない。
つまり、若干角が丸くなってる加工こそチタンの素材感なのだ。これにより角度によってはフラットに見えたり、凹凸が現れたりと独特の陰影がでる。もちろんネットで言われているように指紋もつきやすくなっている。これらは2次元のweb上の写真などからは伝わりにくい。しかし、マグネシウム合金に比べて圧倒的に金属としての存在感が増しているようにも感じる。言うなればブリキのおもちゃのように独特の郷愁感を感じる。富士フイルムもエイジング(経年変化)を楽しんでほしいと言ってるように「FUJIFILM X-Pro3」は加工の精巧さよりも素材感を強調したデザインになっているのだ。
FUJIFILM X-Pro2 FUJIFILM X-Pro3
ちなみにチタンは軽量高強度と言われているのだが、摩耗に弱いとされている。そのため「FUJIFILM X-Pro3」には摩擦に強いDRコーテイングのタイプが追加された。DRコーティングはダイアモンド並の強度を持つとされ、傷がつかないのが売り。エイジングが楽しめるブラック、いつまでも新品のようなボディを保てるDRコーティング。似て非なるラインナップが今回の「FUJIFILM X-Pro3」の特徴だ。
(エイジングが楽しめるカメラとして代表的なは真鍮製のライカ。真鍮は銅と鉛を主とする合金で強度ではチタン合金やマグネシウム合金には劣る。しかしその変形しやすいボディや銅ならではの色合いが魅力とされている。)
実用性では「FUJIFILM X-Pro2」?操作性に癖がある「FUJIFILM X-Pro3」
「FUJIFILM X-Pro3」の操作面での特徴は、話題のHiddenディスプレイになっただけでなく、X-Eシリーズや「FUJIFILM GFX50R」のように十字操作ができるボタンが無くなった点。フォーカススティックのみによる操作に慣れている人は特に気にならないかもしれない。しかし「FUJIFILM X-Pro2」から乗り換えてきた人たちは使いにくさを感じざるを得ないだろう。正直筆者も「FUJIFILM GFX50R」からこのスタイルのカメラを使っているが、未だに慣れない。
ちなみに十字操作ボタンのない「FUJIFILM GFX50R」などではタッチスクリーンの上下左右のスライドでファンクション機能を割り当てることができる。しかしHiddenディスプレイの「FUJIFILM X-Pro3」ではディスプレイが閉じているためこの機能がとても使いづらい。特に三脚などに装着するアタッチメントをつけた状態では、180度ディスプレイが開かない場合があるのでより使いにくくなる。そういう意味でも「FUJIFILM X-Pro3」はスナップ専用機という感じだ。
だからこそ今回さまざまな機能が追加された「FUJIFILM X-Pro3」にとって、撮影中にファンクションボタンの数が減るのは大きなデメリット。特にAE-L/AF-Lのボタンの配置には反対の人も多いだろう。これは「FUJIFILM X-T4」でも言えるポイントである。個人的にはMフォーカスベースでAF-Lも使いながらピントを合わせていくのでAF-Lの位置は凄く重要。いっそのことファンクションボタンのAE-L/AF-LやQなどの表記を無くしてくれるとシンプルで自由に使いやすいのだが、、、(それにしても富士フイルムXシリーズのメニュー画面の英字表記は本当に美しいデザインだ、、、)
時代を逆行する「FUJIFILM X-Pro3」のHiddenディスプレイ
フィルム時代、撮影した写真をすぐに見ることはできなかった。プロの世界でもリバーサルフィルムを使ったコマーシャルなど失敗が許されない現場では本番の前にポラを切って確認することも多々あった。そんなフィルムカメラに対して、その場で写真が確認できるデジタルカメラは革新的なカメラであったと言えるだろう。現にプロの撮影現場では、瞬時に写真をクライアントに確認したり、テザー撮影で複数のスタッフと写真の仕上がりを共有しながら制作が進められいる。
ではなぜここにきて「FUJIFILM X-Pro3」ではHiddenディスプレイと呼ばれる見ることができないデザインが採用されたのか?なぜあえて不自由にするのか?
これはどちらかと言うと精神論に近い。俗に言う写真家たち(広告写真などクライアントの依頼を受けて仕事をする商業カメラマンではなく、自らの作品を発表・販売することを生業としている人たち)の世界では不自由さが逆にシンプルな表現に結びつきやすいとされることが多々ある。
例えば万能なズームレンズを自在に使いこなすより、あえてひとつの単焦点レンズを使うことで写真に作家固有の視点が生じたり、使用するフィルムやカラープロファイルを絞ることで作品全体に統一感がうまれたりする。極端な例をあげると歴代の日本の写真家の中には100mmのレンズでISO100、F8、1/125に固定でしか撮らないという写真家もいた。
実はこれこそが写真によって世界をどのように抽象化させるかという重要な視点になるのだ。つまりHiddenディスプレイもノーファインダー撮影やウエストレベル撮影などと同様に仕上がりの写真に大きな違いがうまれるということだ。
ちなみに筆者の場合、スナップ撮影後に写真を1枚1枚確認しながら撮影を進めると、無意識のうちに構図を整え過ぎてしまう傾向がある。仕上がりが気になるが故に撮影枚数が増えたり、立ち止まる回数が増えフットワークが悪くなってしまう。これに比べてHiddenディスプレイ(やフィルムカメラ)では撮影後に写真を確認しなくなることで撮影のフットワークが良くなり、枚数も極力1シーン1カットに抑えられる。さらに撮影時には予期しなかったような1枚が撮れてたりもする。このように選択肢をあえて減らす方が、混乱や迷いを避けてシンプルに表現を楽しめることの方が意外と多い。
とは言え、日常的に使っていると大事なイベントや記念撮影など失敗のできない瞬間にはすぐに撮影した写真を確認したいときもあると思う。そんな際は、電子レンジファインダー(ERF)に撮影した写真を表示させるのがおすすめだ。さすがにいちいちHiddenディスプレイを開くのは面倒なので、撮影後に数秒だけ小窓に表示させれば露出の確認くらいはできる。
より撮影に専念できる!「FUJIFILM X-Pro3」のファインダーはここが違う!
今回紹介している「FUJIFILM X-Pro3」や2020年4月に発売された「FUJIFILM X-T4」はXシリーズの中でもデジタルカメラの完成形に近いカメラ。一般的なデジカメは携帯電話のように新機種がでるたびに買い換えたくなるような消耗品的な位置付けが強かったが、「FUJIFILM X-Pro3」や「FUJIFILM X-T4」はカメラとしての必要な条件をすべてクリアした一生使えるカメラだと断言できる。その要因にあげられるのがファインダーとAFの性能である。
-6EVでも動作するAF
例えばフィルム用のレンジファインダーカメラではその場の明かりや状況に関係なく光学ファインダーによる二重像合致方式で正確にピント合わせができる。それに比べてEVF(電子ビューファインダー)に依存しているミラーレスデジタルカメラでは暗い場所などでマニュアルでのピント合わせが非常に困難でAFに頼らないといけない状況が多々ある。
そんな際に重要になってくるのが低照度時のAF。「FUJIFILM X-Pro3」ではこの低照度時のAFが「FUJIFILM X-Pro2」の-2EVから-6EVへと数段階もレベルアップしている。-6EVがどれくらいの暗さかというとこれはF1の絞りでシャッタースピードを1秒、感動を6400に設定した際の明るさだと言われている。これは-2EVよりも4段暗い状況でもAFが動作するということである。
もちろん「FUJIFILM X-Pro2」も優れたカメラだった。しかし暗い場所でのピント合わせはお世辞でも合わせやすいとは言い難かった。それに比べて「FUJIFILM X-Pro3」は半年くらいプライベートや仕事で使用してみたが、AFが合わないなんてことは記憶にない。(ちなみ「フジノンレンズ XF50mmF1.0 R WR」との組み合わせでは低照度限界は-7EVとなる。)
ピントがより合わせやすくなったハイブリッドビューファインダー
そして「FUJIFILM X-Pro3」でもうひとつ特筆べき性能がある。それがファインダーそのものの性能だ。「FUJIFILM X-Pro3」では「FUJIFILM X-Pro2」のファインダーと比較してコントラスト比が1:300から1:5000、解像度は369万ドットに。ERFも改善されOVF、EVFともにピント合わせしやすくなった。
特にマニュアルでのピント合わせはコントラスト比と解像度があがったこともあり、フォーカスピーキングの見やすさが格段に向上した。OVFでのERF表示のピント合わせでもストレスなくピント合わせができるようになっている。
その一方でOVFでのブライトフレームの表示は「FUJIFILM X-Pro2」の18mm-140mmから23mm-140mmへと変更になり、「FUJIFILM X-Pro2」で可能だったワイド画角でのブライトフレーム表示が無くなった。広角域のレンズでスナップを楽しみたい人にとっては少し残念な使用になってしまったが、かつてのレンジファインダーカメラと決定的な違いは「FUJIFILM X-Pro3」がデジタルカメラであり、ハイブリッドビューファインダーを搭載している点。EVFとの切り替えをうまく使えば全ての領域で高品質なフィンダー撮影を楽しめる。
APS-C機の限界到達!?「FUJIFILM X-Pro3」の画質
最後に「FUJIFILM X-Pro3」の画質についても少し触れたいと思う。富士フイルムのXシリーズでは基本的に同じイメージセンサーと画像処理エンジンが搭載されるので、対応しているフィルムシミュレーションなどに差はあっても機種によってベースになる画質に大きな差はない。
巷では3000万画素クラスのAPS-Cセンサー搭載デジタルカメラが登場したりしているが、筆者は「FUJIFILM X-Pro3」を含めXシリーズが3000万画素を超えないスペックで内心ほっとしている。
ここでは解像度とピクセルピッチの話から、カラープロファイル、カメラ内現像の可能性へと話を進めながら「FUJIFILM X-Pro3」を解体していく。(※この記事に紹介している各カメラのピクセルピッチはカメラのセンサーサイズ、画素数からCamera Rev編集部が独自に算出したものであり、実際のカメラのピクセルピッチとは異なる可能性がございます。)
Xシリーズのピクセルピッチについて
デジカメの画質を検証する際に多くの人が気にかけるのが画素数。画総数の多いカメラほど高画質で、高価なイメージを持ってる人も少なくはないだろう。しかしカメラの画質を判断する際に1番大事なのはセンサーサイズと画素数、そしてピクセルピッチだ。
ピクセルピッチとは、その名の通り隣り合う画素から画素への距離。相対的に1画素あたりの大きさを示す値だ。つまりセンサーのサイズ(面積)が変わらない限り、画素数とピクセルピッチは相対的に変化するのである。一般的に画総数が大きくなるほど高精細になるがピクセルピッチは短くなり1画素あたりに届く光は少なくなる。するとノイズが発生しやすく、ダイナミックレンジも狭くなる。逆に画総数が少ないほどピクセルピッチは長くなり、1画素あたりに届く光が多くなるとノイズが少なくなるので高感度耐性が向上、階調やダイナミックレンジも豊かになる。
「FUJIFILM X-Pro3」よりも前に「FUJIFILM X-T3」が2610万画素の裏面照射型CMOSセンサーを初めて搭載して登場した際、画素数が上がったのにも関わらず画質が低下したんじゃないかと噂になったのはこの理由だ。でも実際はより画素同士を近くに配置できる裏面照射型センサーの採用により画素の大きさを変えずに画素数が増えたとも言われている。(むしろ大きくなっている!?)現に「FUJIFILM X-Pro3」や「FUJIFILM X-T3」では画素が増えたのに最低感度は200から160へと見直された。
つまり同じサイズのAPS-Cセンサーを搭載しているXシリーズのピクセルピッチは、だいたい3.9〜3.6μm(マイクロメートル)前後になる。そしてこのピクセルピッチこそが現行のセンサーでは画質と精細を両立する限界と筆者は考えてる。ポイントとになるのはピクセルピッチが4μmに限りなく近く4μm以下であるということだ。理由は後述する。
現行のデジタルカメラのピクセルピッチ
約2600万画素の3.8μm程度のピクセルピッチをもとに他のイメージセンサーサイズで画素数を考えると、35mmフルサイズでは約6000万画素。「Sony α7R IV」がこれに当たる。中判デジタルのラージフォーマットでは約10000万画素の「FUJIFILM GFX100」、マイクロフォーサーズだと1600万画素程度になる。現行の2000万画素クラスのマイクロフォーサーズではピクセルピッチは3.4μmと更に短くなる。
ちなみにニコンやキャノンのフラグシップ機で2000万画素クラスが採用されている理由は十分なピクセルピッチを稼ぐためだと言われている。現に「Nikon D6」や「Canon EOS-1D X Mark Ⅲ」のピクセルピッチは6.5μm程度になる。これよりも広いのは「Sony α7SⅢ」の1210万画素で約8.4μm。逆に「Nikon Z7II」や「Canon EOS R5」 の4500万画素クラスでは4.3μm程度となる。
ベストなピクセルピッチとは?
以上を踏まえると、現在のデジカメにおける画質的に余裕があるピクセルピッチは6〜6.5μm程度と憶測できる。中判デジタルのラージフォーマットだと3600〜4000万画素、35mmフルサイズで2000〜2400万画素、APS-Cで900〜1000万画素程度、マイクロフォーサーズではなんと600万画素程度となってしまう。
しかしながら、ピクセルピッチを広くしようとすると画素数が少なくなり、精細さがなくなってしまうのも事実である。ちなみに筆者が考えるベストなピクセルピッチは5.3μm程度。中判デジタルだと富士フイルムのGFX50シリーズやハッセルブラッドのX1Dシリーズが該当する。35mmフルサイズでは3000万画素クラス、APS-Cでは1200万画素クラス、マイクロフォーサーズでは800万画素クラスになる。センサーサイズの小さいAPS-Cやマイクロフォーサーズではなかなか該当する機種がないが初代Xシリーズの「FUJIFILM X-Pro1」やパナソニックの「DC-GH5S」や「DC-BGH1」などがこれに近い。画素数とピクセルピッチのバランスからみてもプロの世界で5000万画素クラスの中判デジタルを愛用している人が多いのも肯ける。
逆に画質が若干悪くなっても(Raw現像の自由度が下がっても)高精細を求めるなら3.8〜4μm以下が良いのではないだろうか。ラージフォーマットで10000万画素クラス。35mmフルサイズでは5500〜6000万画素クラス、APS-Cで2400〜2600万画素クラス、マイクロフォーサーズでは1600万画素クラス。まさに「FUJIFILM X-Pro3」など現行の高画素デジカメがこれに該当する。ちなみに冒頭でもピクセルピッチが4μm以下になることがポイントだと書いたのは、一般的なレンズの場合、ピクセルピッチが4μm以下になるとレンズの解像性能をセンサーが上回るのでローパスレスでもモアレが起きにくくなると言われているからだ。
ここまでピクセルピッチに関して細かく検証してきたが、実際のところはセンサーの設計にもよるので単純にピクセルピッチと画質が結びつかない場合もある。あくまでも画質を判断する際の参考にしてほしい。特にノイズを粒状感としてうまく利用している富士フイルムのXシリーズでは多少ノイズがあるセンサーの方が向いている気もする。実際、X-Trans CMOSセンサーの独特な粒状感はシャープのかかり具合が抜群にいい。
フィルムシミュレーションというメーカーが作るカラープロファイル
ではセンサーレベルでは限界に届きつつあるAPS-Cセンサーなのにも関わらずなぜ「FUJIFILM X-Pro3」やXシリーズの色が美しいと言われるのか?やはりそこには戦後80年近い歴史を持つ富士フイルムの技術と情報が鍵を握っている。
デジタル写真の最大の特徴は、仕上がりのカラーをシミュレートできるというところ。スマホの写真アプリのフィルター機能もそうだが、プロ用の現像ソフトでシミュレートされた様々なカラープロファイルを利用すれば誰でも簡単に一枚のRawデータから様々な色表現が可能になる。感の良い人ならばプロファイルを自由に当てることができるデジカメでは、カメラの固有性はあまり関係ないようにも感じるのではないだろうか?
しかし、ここでポイントになるのがメーカーが作るカラープロファイルだ。XシリーズがJPEG撮って出しが美しいと言われる点もここにある。フィルム調を再現した各フィルムシミュレーションの基本の色味は言うまでもないが、トーンと彩度の関係、ノイズリダクションの秀逸さなどはすごく完成度が高いのだ。特にノイズリダクションに関しては、高感度で発生するノイズをうまく除去しながら、粒状感として必要なノイズを自然に残している。この画像処理は独自のアルゴリズムで行われているためLightroomやcapture Oneでも再現するのが難しい。(ちなみに筆者もカメラ内現像を利用したX RAW STUDIOと一般的な現像ソフトを使い分けている。)
それ故に「FUJIFILM X-Pro3」ではカメラ内の現像設定だけでもホワイトバランスとうまく組み合わせれば実に多くの色表現・写真表現が簡単にできる。(以下に作例あり)
オールドレンズでひろがる表現の可能性
このように独自のフィルムシミュレーションが充実した「FUJIFILM X-Pro3」ではカメラ単体で様々な写真表現を楽しむことができるのが最大の魅力。また「FUJIFILM X-Pro3」から新たに追加されたClassic Neg.では基本になるカラーバランスを少し崩したような変化球的なフィルムシミュレーションに仕上がっている。しかもClassic Neg.は彩度や階調が各色相ごとに輝度変化に合わせて設計されていると言われいる。つまり状況にわせて表情が変化する”生きた”フィルムシミュレーションなのだ。ちなみに「FUJIFILM X-Pro3」のネガフィルム系フィルムシミュレーションは3つ。ライティングされた光に向いているPro Neg.HiとPro Neg.std。そしてライティングされてないフラットな光でも立体的に写るClassic Neg.だ。(最新の「FUJIFILM X-T4」以降の機種では更に動画向けのフィルムシミュレーションとしてETERNAブリーチバイパスも追加されている。)
これらのカラーバランスを少し崩したような色はフィルムシミュレーションの中でも特殊で、見たままに写す写真の基本から少し逸脱している。現実の色よりも記憶の中の色に寄っている富士フイルムのカメラならではの”外した色”とも言えるかもしれない。ノスタルジックな懐かしさを自然に表現できるところはさすがフィルムメーカーが作るカラープロファイルだ。
またクラシックなフィルムの色合い持つフィルムシミュレーションは少しクセのあるオールドレンズやクラシック設計のレンズとも相性が良いのもポイントだ。
最近のコシナのレンズなど一部設計が見直されているが一般的なオールドレンズはデジタル用に設計されていないので、周辺の光量落ちと色被りが激しい。35mmフルサイズでオールドレンズを使用したことがある人ならフィルムでの写りとの違いに驚いた人も少なくはないと思う。筆者も35mmフルサイズや中判レンズでMマウントのレンズを使うことがあるが、仕事では現像時に色被りを補正したりと一手間かかってしまう。
その点XシリーズはAPS-Cサイズということもあって周辺の状態はそんなに悪くない。先述したような変化球的なフィルムシミュレーションを組み合わせれば個性的な仕上がりになる。そのうえオールドレンズ+アクロス(モノクロ)に関しては現存するカメラの中でトップクラスの写りを実現している言っても過言ではないだろう。(レンズの描写を除けばモノクロライカにも負けてないと思う。)
ちなみにこちらのサンプル写真で使用したクラシック設計のレンズはコシナ製の「ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM」だ。開放でのオールドレンズのようなクラシカルなボケ感が印象的だが、絞り込めば現代レンズ顔負けのシェープな絵作りが可能となる。さすがZEISSレンズという一本だ。価格もお手頃なのでとてもおすすめ。(現行品のクラシック設計のレンズに関してはこちらの記事でもレビューを掲載中!→「SHOT ON FUJIFILM #4 : 個性派必見!富士フイルムXシリーズで楽しむオールドレンズ!」)
デジカメの概念を変えるカメラ「FUJIFILM X-Pro3」
フィルム写真の良さとはなんであったか?24枚や36枚と限られた枚数の中でフィルムを巻き上げ、シャッターを切る。どんな風に撮れたかは現像に出すまで分からない。写真を確認するまでの間に何を撮ったか記憶は薄らボケて、仕上がった写真を確認する頃には写真が記憶にすり替わっている。
デジタル技術が写真界もたらした功績は計り知れない。失敗はその場で確認できて、メモリーカードがいっぱいになるまで撮影をし続けることができる。そう、誰でも簡単に確実な1枚を撮影することができるようになった。
しかし、確実な1枚。失敗のない成功。それが写真を撮る目的だったのか?フィルムが現像から仕上がってくるのが待ち遠しくて、わくわくしていた心はどこに行ったのか?
「FUJIFILM X-Pro3」はデジカメでありながらそんなフィルムカメラの撮影スタイルを思い出させてくれるカメラ。チタンの物質感は消耗品としてのデジカメを「唯一無二のカメラ」に変えてくれるし、豊富なフィルムシミュレーションはカメラ屋さんで棚に並んだフィルムを全種類カバンに詰め込んだような贅沢さを感じさせてくれる。「FUJIFILM X-T4」のようなボディ内手ぶれ補正やフラッグシップクラスのような突出した撮影性能はないが、ベースとなる画質や撮影性能、ファインダーはこの先ずっと写真を楽しんでいく上で十分すぎる完成度になった。壊れるまで一生使えるカメラと言っても過言ではないだろう。
そしてもし「FUJIFILM X-Pro3」をどんな人におすすめかと聞かれたら「FUJIFILM X-Pro3」はフラグシップ機でも、プロ機でもない。富士フイルムの写真に対するコンセプト機。だから初心者からプロまですべての人に開かれていて、写真が好きなすべての人におすすめしたいと答えたい。
「SHOT ON FUJIFILM」の一覧
- SHOT ON FUJIFILM #1「FUJIFILM X-Pro2」と「XF10-24mmF4」美術館で使ってみた!
- SHOT ON FUJIFILM #2 ダイナミックレンジを検証!「フジノンレンズ XF10-24mmF4」の撮影術!
- SHOT ON FUJIFILM #3 花の写真で徹底分析!「FUJIFILM X-Pro2」のフィルムシミュレーション!
- SHOT ON FUJIFILM #4 個性派必見!富士フイルムXシリーズで楽しむオールドレンズ!
- SHOT ON FUJIFILM #5 カメラ初心者に人気!富士フイルムのエントリーモデル「FUJIFILM X-T100」
- SHOT ON FUJIFILM #6 中判デジタルの魅力!「FUJIFILM GFX50R」ファーストインプレッション!
- SHOT ON FUJIFILM #7 フルサイズミラーレスを凌駕!?富士フイルムのミラーレス「FUJIFILM X-T3」
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