「FUJIFILM GFX 50R」でフルサイズ!?-50mmオールドレンズ編-
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富士フイルムの最大の魅力「フィルムシミュレーション」。Xシリーズが登場した当初から富士フイルムの35mmフルサイズカメラの登場を期待した人も少なくないはず。フィルムシミュレーションとフィルム時代のオールドレンズやクラシックレンズとの相性の良さは本誌でも以前に取り上げてきたように抜群に良い。今回はそんなオールドレンズを「FUJIFILM GFX50R」の35mmフォーマットモードで「50mm標準レンズ編」、「35mm広角レンズ編」、「85mm望遠レンズ編」の全3回で実写してみた。
まず第1回目となる50mm編ではコシナより現在も販売されている標準レンズ「ZEISS C Sonnar T* 1.5/50 ZM」を実写レビュー!
「FUJIFILM GFXシリーズ」で35mmフルサイズレンズを使う方法
フランジバックが26.7mmと中判の割に短い「FUJIFILM GFX 50S」や「FUJIFILM GFX 50R」は、マウントアダブターを介することで使用できるオールドレンズがたくさんある。そしてGFXシリーズは35mmフルサイズのフレームでクロップしてくれるモードが標準搭載。撮影時にこちらのモードを利用することで気軽に35mmフルサイズカメラとして富士フイルムのGFXを使うことができる。
35mmクロップモードで撮影し際の画素数は約3000万画素(6768px×4512px)。ちょうどキャノンのEOS Rあたりと同等として考えると分かりやすい。(ちなみに「FUJIFILM GFX 50S」や「FUJIFILM GFX 50R」の上位機「FUJIFILM GFX 100」で35mmクロップモードで撮影し際は約6000万画素(9552px×6368px)になる。)
Mマウントレンズには「NOVOFLEX FUG/LEM」がおすすめ
35mmフルサイズ用のレンズをGFXで使える純正マウントアダプターは今のところない。手に入りやすいメーカーとしては焦点工房の「SHOTEN LM-FG (S)」が有名だが、現在のところ真鍮シルバータイプのみの販売。
個人的にはデザインも含めてドイツ製の「NOVOFLEX FUG/LEM」がおすすめだ。ドイツ製なので、少々お値段は高めだが、レンズを装着してもガタつくこともなく、デザインもシンプルなのでレンズやボディとも干渉しない。
GFXでのマニュアルレンズの使い勝手は?
「FUJIFILM GFX 50S」や「FUJIFILM GFX 50R」でマニュアルレンズを使う際に気になるところはピント合わせ。基本的にはレンズ開放でピントを合わせて、それから絞り込むというのが撮影の順序になる。純正レンズが自動で行なっている作業をマニュアルで行わなければいけない。
もちろん絞り込んだ状態でのピント合わせも可能なのだが、絞り込めば絞り込むほどファインダーの光量が落ち、フォーカスピーキングではピントの山が掴みにくくなっていく。ちなみに筆者の感覚としては開放から2絞りくらいであればそのままの絞りでピント合わせも可能だ。そこからさらに絞り込んだ状態でピントを合わせるとフォーカスピーキングでは合ってるように感じるが、ピンぼけする割合が上がっていく。ピント合わせの手間を考えると純正レンズに比べ確実に機動力が落ちる。
しかしながらこれはGFXに限らずオールドレンズなどマニュアルレンズを使う際すべてに言えることである。現代レンズにはない表現力を求めるか、ストレスフリーな撮影を求めるか、少なからず天秤にかける必要がある。
「FUJIFILM GFX 50R」で「ZEISS C Sonnar T* 1.5/50 ZM」を使ってみた!
それではまずコシナから出ている標準レンズ「ZEISS C Sonnar T* 1.5/50 ZM」を「FUJIFILM GFX 50R」で使用してみた。使用したマウントアダプターは「NOVOFLEX FUG/LEM」だ。
「ZEISS C Sonnar T* 1.5/50 ZM」は開放時のピントとコントラストのピークが微妙にズレるという癖玉。フォーカスピーキングはコントラストのピークに引っ張られるので開放付近でそのままピント合わせする分には問題ない。しかし絞り込む際には注意が必要だ。実写したとろF1.5-F4くらいまでならそのままピント合わせができる。逆にF5.6以上に絞り込みたい場合は、ピントがズレないF2.8くらいで一旦合わせて絞り込むのがベストだ。
写りとしては全体的にコントラストが高く、色乗りが良い。CLASSIC CHROMEやPRO Neg系の彩度が低めのフィルムシミュレーションと組み合わせるとコシが出て印象的な写りになる。逆にリバーサル系のVelviaなどは彩度がキツく感じことがああるので適度に彩度を落とした方が良いだろう。
「ZEISS C Sonnar T* 1.5/50 ZM」の独特のボケ感
富士フイルムのXシリーズ(APS-C機)でフィルムカメラ用レンズを使っている人ならびっくりするだろう。やはり本来のフルサイズの画角で撮影すると画面に余裕がうまれて描写自体は変わらないはずなのに、ボケ感や立体感は全く違うように感じる。(ちなみに「FUJIFILM GFX 50R」のDR400設定(ISO400以上)で晴天の屋外でF1.5の絞りを使おうと思うと電子シャッターでも対応できない場合があるので注意が必要だ。)
そのうえ、フィルムカメラで「ZEISS C Sonnar T* 1.5/50 ZM」を使うよりも、ローパスレスのデジカメで使う方が解像度は数倍にも上がっているような気さえする。F8くらいまで絞り込んでも現代のデジカメの解像度に問題なく対応できているから本当にZeissレンズには驚かされる。
レンズの性能を十分に味わうならカラーよりもACROSがおすすめ?
「ZEISS C Sonnar T* 1.5/50 ZM」はデジカメでの使用を想定して設計されたレンズではないので、カラー写真の場合フィルムで使用するときよりも周辺の光量落ちや色被りが発生する場合がある。
被写体が自然物などごちゃごちゃしてる背景であれば光量落ちや色被りで中心部がとても立体的に見えるので独特の雰囲気を感じられるし、青空などでは色被りと光量落ちがベストマッチして現像ソフトではなかなか再現できない独特のグラデーションができるのであまり気にならないが、一方でコンクリートや白バックのように色もトーンも単調な背景だと周辺にシアン系の色被りが発生する場合が少なからずある。(上の写真のガードレールに注目だ。)
この場合、PRO Neg.StdなどローコントラストのフィルムシミュレーションやCLASSIC Neg.などカラーバランスが個性的なフィルムシミュレーションを使えばある程度は目立たなくできる。
以上のことを踏まえると「ZEISS C Sonnar T* 1.5/50 ZM」の性能を最大限に引き出すとしたらACROS(モノクロ)が一番おすすめだ。ベイヤーセンサー特有の偽色の発生も抑えれるし、色に分散される情報がシンプルなモノクロのトーンとなるのでカラーで撮影するよりも雑味がなくなり透明感が増す感じすらある。周辺の光量落ちも自然に感じられる。
特に「ZEISS C Sonnar T* 1.5/50 ZM」などのZMレンズはピント面での解像度はライカすら凌ぐと言われているのでGFXとの相性も良くとてもシャープに写る。フィルムで撮影するよりも3割くらい立体感が増す感じだ。
こちらはACROSとCLASSIC CHROMEでの比較だ。それぞれフィルムシミュレーションにあわせてカメラ内現像で若干トーンを触ってるというのもあるが、モノクロになると一気に写真が安定する。ただしカラーが悪いというわけでは決してない。シーンや被写体を選べば十分にクラシカルな雰囲気を醸し出してくれる。ポートレートとの相性も良さそうだ。
「FUJIFILM GFXシリーズ」と「ZEISS C Sonnar T* 1.5/50 ZM」の相性は抜群!
2020年にGFXシリーズのファームウェアもVer.2.00なってCLASSIC Neg.が追加された。今回思い切って「ZEISS C Sonnar T* 1.5/50 ZM」との組み合わせを検証してみた結果、35mmフォーマットモードに新たな可能性を発見できた。というのもGFXを持った当初はその画質に驚かされていたこともあり、35mmフォーマットモードで画質が半減してしまうことに全く魅力が感じられなかったからだ。
しかし35mmフォーマットモードに高画質を求めるのではなくて、逆にフィルムシミュレーションやその他の設定を活かして敢えて画質を”落としていく”ような写真にすることで35mmフィルムを彷彿させるようなクラシカルな写真を撮れることができた。(WEB上の写真では分かりにくいと思うが、グレインエフェクトを”強”でかけたりしている。)これらの写真は大口径で立体感のあるラージフォーマットの写真とは全く異なる印象を受ける。
それもこれもすべてCLASSIC Neg.という個性的なフィルムシミュレーションによる新たな気づきがあったからだ。きれいに整えることだけがすべてではないということ。なので今回レビューした「ZEISS C Sonnar T* 1.5/50 ZM」に関して言えば、レンズの解像度が高く個性的なボケを持っているのでフィルムシミュレーションや設定次第でいろんな使い方ができることが分かって頂けたのではないだろうか。
筆者は「ZEISS C Sonnar T* 1.5/50 ZM」のような高コントラストのオールドレンズを使う際は、色乗りが良いのでCLASSIC CHROME使ってしまうことが多い。しかし敢えてACROSのみ。もしくはCLASSIC Neg.といったフィルムシミュレーションを限定的に使うのも面白そうである。
ということで次回はここから更により光量落ち、色被りも出そうな広角系のオールドレンズで実写レビューしてみたいと思う。つづく。
今回使用したカメラとレンズ。「FUJIFILM GFX 50R」や「FUJIFILM GFX 50S」は近年だいぶ値下がりして、高画素のフルサイズ機と同じくらいの価格帯になっているのでかなりおすすめだ!
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