「FUJIFILM GFX 50R」でフルサイズ!?-35mmオールドレンズ編-
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GFXシリーズの35mmフォーマットモードを使用したオールドレンズレビュー。第二回目となる今回は広角35mmのオールドレンズ「ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM」だ。使用した機材は前回同様「FUJIFILM GFX 50R」と「NOVOFLEX FUG/LEM」。
フィルム用レンズとFUJIFILM GFXシリーズの相性
前回の「50mmオールドレンズ編」でも少し触れたがデジタルカメラでフィルム時代のレンズを使用する際ポイントになってくるのが周辺の光量落ちと色被りだ。
フィルム写真では光量落ちも色被りも気にならなかったのにデジタルになったとたんなぜ?と思う方もいると思う。一般的にはフィルムよりデジタルカメラの撮像素子の方が光を受け取れる角度が狭いからだと言われている。そのため現行のデジカメレンズは、できる限り撮像素子に垂直に光を届けるために、フィルムカメラと同じフォーマットでもレンズが大きく長くなっているのが分かる。(ちなみにSIGMAのfoveonセンサーのようにリアルカラー三層のセンサーだと、さらに光を垂直に届けないといけないためよりレンズが大きくなる傾向にある。)
このような理由でフィルム用のレンズをデジカメで使用すると周辺の光量落ちや色被りが目立ってくるというわけだ。そしてこれは撮像素子の面積が大きい「FUJIFILM GFX 50R」だろうが、撮像素子の小さいXシリーズだろうが撮像素子の大きさには関係なく影響がでる。とは言えフルサイズよりもAPS-Cの方がレンズの中で一番画質の良い中心部分だけを使うので影響は少ないと言える。
光量落ちや色被りは諦めるしかないのか?
ひとつの打開策としては「CLASSIC Neg.」のようなクセのあるカラープロファイルを敢えてあて気にならなくする方法がある。(近年のアップデートで「FUJIFILM GFX 50R」や「FUJIFILM GFX 50S」でもこのフィルムシミュレーションが使えるようになった。)このフィルムシミュレーションでは、クラシカルな雰囲気が強調されて現代レンズでは味わえないような描写ができるのが最大の魅力。一方で忠実な色再現(リアルカラー)からは離れていってしまう。フィルムシミュレーションの種類に関わらず色被りや光量落ちを補正しようと思うと、現像ソフトで周辺光量をコントロールしたり、円形グラデーションマスクなどを使用してで色被りを除去することも可能であるが大量の写真を1枚1枚微調整するのは結構大変だ。
ちなみにXシリーズの純正Mマウントアダプターを装着すると、レンズごとに歪曲補正や周辺光量補正、色シェーディング補正を設定することが可能。しかしなぜかこの機能はXシリーズ、GFXシリーズ共に標準では使用できない。
個人的に一番おすすめなセッティングはモノクロ系フィルムシミュレーションでの撮影だ。オールドレンズは良くも悪くも色乗りが独特なので、うまくハマれば良いがシーンに合わないと残念な写真になることも多々ある。そこで敢えてモノクロで使うことにより安定した描写が得られる。特にZEISSのようなシャープなレンズではカラーよりもモノクロの方がシャープネスや立体感が際立つ。普段はモノクロで写真を撮らない人でも、オールドレンズを使用する際はモノクロ。とルール決めすれば、いろんな設定でフィルムシミュレーションを楽しむことができるのはないだろうか。ちなみに仮にモノクロで撮っておいたとしても、どうしてもこの写真はカラーにしたいと思えばあとからカラーで現像して仕舞えば良い。これがデジタルの良いところ。
デジカメにも対応した現代マニュアルレンズ。
フィルム時代のレンズをお持ちの方やどうしても使ってみたい方は工夫しながら使わうか、割り切ったセッティングで使うのがベスト。しかしこれからクラシックスタイルのマニュアルレンズを試してみたい方には現行品でデジカメの光量落ちや色被りに対応したレンズもいくつかあるので安心してほしい。高級なブランドになってしまうがライカもそのひとつだ。もっとお手頃なレンズではコシナのフォクトレンダーシリーズが特におすすめで、近年発売されたヴィンテージラインの中には色被りの対策(商品紹介ページに記載あり)に対応したレンズもいくつかある。
「FUJIFILM GFX 50R」で「ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM」を使用してみた。
ZMレンズの中でも1番コンパクトな「ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM」と別売の「Lens shade 35/50mm」。お世辞でも「FUJIFILM GFX 50R」とのボディバランスは良いとは言えない。シルバーではなくブラックであればもう少しボディとの一体感は出るかもしれない。。。とは言え「ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM」の使用感は前回の「ZEISS C Sonnar T* 1.5/50 ZM」とそんなに大きく変わらない。むしろ「ZEISS C Sonnar T* 1.5/50 ZM」よりも開放値が低く、独特のピントのズレなども無いので使いやすいぐらいだ。
「ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM」は全域でトンネル効果
「ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM」の色表現に関しては、「ZEISS C Sonnar T* 1.5/50 ZM」と同様かなりしっかり発色する。開放付近での独特なボケとしっかりめのコントラストがクラシカルな印象を強調している。フィルムシミュレーションとの相性も良くベルビアなどのリバーサル系でもネガ系でも個性的な写りをするので、これ一本でかなり遊べる。もちろんモノクロでの写りもキレキレ。
仮に一点弱点をあげるとしたらやはり周辺の光量落ち。遠景を撮った場合はおもしろいくらいトンネル効果が出る。とは言えこれを欠点か個性か捉え方は使い手しだいだ。古典的なスナップ写真とは間違いなく相性が良い。一方で現代的なクールで雑味のない写真には向かないだろう。
ZEISSレンズのシャープネスは顕在!
最後に「ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM」などZMレンズを使っていると毎度驚かされることがある。それはピント面でのシャープネスだ。かつて何かの雑誌でZeissレンズとLeicaレンズのピント面でのシャープネスを比較するという特集があったがその時もZeissの方がギチギチにピントがきていたのを覚えている。
しかし勘違いして欲しくないのは、ピント面がシャープだから良いレンズとは言えないことだ。承知の事実だと思うがLEICAよりZEISSがシャープだからZEISSの方が良いレンズとは限らない。ただシャープなZEISSレンズはローパスフィルターレスの「FUJIFILM GFX 50R」やXシリーズで使用して際、気持ち良くピントが合致するし、ACROSなどのモノクロとも相性が良い。なんならXFレンズやGFレンズよりもシャープなのでは?と思う瞬間さえある。特に今回紹介したZMレンズの中でもCのつくシリーズはコンパクトとクラシカルを兼ね備えたシリーズで、開放ではクラシカルな甘い描写、2段絞り込めはがっちりピントが合うので、絞りによる表現がとても豊かだ。解放から割と写るフジノンレンズとはコンセプトが違うので、とても楽しい。
ちなみに筆者が「ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM」を手に入れた理由の1番が開放での描写だ。
味変に最適な「ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM」
冒頭から光量落ちや色被りに触れた通り、「ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM」はフィルムカメラで使っていたときより広角レンズの特徴が強くでる。このトンネル効果をあえて利用するのも良いし、逆にモノクロでクラシカルなスタイルを貫くのもアリだと思う。少なくともここで言っておきたいことはひとつ。前回紹介した「ZEISS C Sonnar T* 1.5/50 ZM」や今回の「ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM」もそうなのだが、これらのオールドレンズで得られる画質は純正レンズでは絶対に得られないということだ。
現代レンズの描写の特徴は開放からしっかりと写ること。富士フィルムのレンズも例外ではなく、印象としてはコシナのレンズのように遊び心があると言うよりも、老舗カメラ&フィルムメーカーとしての誇りがレンズに現れている。良くも悪くも真面目で堅実な描写、つまり技術に忠実で高解像が特徴だ。どのレンズを使ってもシリーズで一貫したフジの画質が得られる。
しかし、同じシステムで撮影していると少なからず飽きがやってくるのも事実。筆者も仕事や制作でフジノンを使うことが多いので、プライベートでは少しいつもと違うテイストを味わいたい。そんな際に「ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM」のようなオールドレンズが数本あると表現の幅も広がる。安定した画質を提供してくれるフジノンに対して、オールドレンズはとても相性が良いのだ。つづく
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