スナップシューター必見!「フジノンレンズ XF50mmF2 R WR」実写レビュー
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50mm単焦点。一般的にフルサイズでは標準レンズと呼ばれるこの焦点距離は、センサーサイズがAPS-Cの富士フイルムXシリーズでは35mm版換算で約75mm相当の中望遠の画角となる。長年標準レンズとして開発され続けてきた50mmという焦点距離は、個性豊かなレンズが豊富なことでも有名。
ということで今回のSHOT ON FUJIFILMではXFレンズの中でもコンパクトでストリートスナップに最適。おまけにコスパも良いという「フジノンレンズ XF50mm F2 R WR」を実写レビューしてみた。
「フジノンレンズ XF50mmF2 R WR」ってどんなレンズ?
富士フイルムの単焦点レンズは大きく分けて3つに分類することができる。一つは第一世代と呼ばれる比較的大口径で明るいレンズ。AFは遅めだが写りに関してはXシリーズの代名詞。富士フィルムのデジタルカメラの礎を築いてきたレンズといっても過言でないだろう。
そしてその次が「FUJIFILM X-Pro2」の登場と同時に発表された防滴・防塵・コンパクトが売りのWRシリーズ(第二世代)。開放値こそ若干暗めだが、コントラストが高めで線の太い描写がストリートスナップに最適なレンズだ。「フジノンレンズ XF50mmF2 R WR」もそんな第二世代に当たる。
最後に近年よく話題になる写り重視の大口径シリーズ。F値は同焦点距離で最小を攻め、中判カメラのような滑らかなボケ感が売りのプレミアムシリーズ。「フジノンレンズ 50mmF1.0 R WR」や「フジノンレンズ XF18mmF1.4 R LM WR」など話題の第三世代。
「フジノンレンズ XF50mmF2 R WR」の魅力
第二世代WRシリーズの最大の魅力は、第一世代で実現されなかったAFの高速化、コンパクト化、そして防滴防塵仕様が実現された点。
じゃあ写りは?と思う方もいるだろうが「フジノンレンズ XF50mm F2 R WR」など第二世代は、第一世代が線の細い描写でAPS-Cを感じさせない大口径ならではボケ感が印象的なのに対し、小口径で程よく背景が残る。かつてのトリプレットレンズやテッサー、ヘリアーなどストリートスナップに最適化された写りが印象的。描写の特徴としては、コントラストが高めで線は太い。タイプが違うので値段こそ差はあるものの第一世代と第二世代は単純に甲乙付け難い。
「フジノンレンズ XF50mm F2 R WR」も硬めの描写が印象的。同じ中望遠レンズである「フジノンレンズ XF56mm F1.2 R」とは真逆のレンズとして語られることも多いが決してそんなこともない。印象的なボケによるクラシカルな写り、スナップ写真向きの硬めな描写、富士フイルムのカメラ内現像をうまく利用すれば、いろいろ写りを楽しめる。
ちなみに個人的には元祖WRシリーズの23mmF2、35mmF2、50mmF2のなかでは「フジノンレンズ XF50mmF2 R WR」が1番個性があって表現力が高いと思っている。
APS-Cサイズにおける50mmレンズの位置付け
冒頭でも述べた通り35mmフルサイズに慣れ親しんでいる人にとっては50mmの焦点距離というと標準レンズにあたる。APS-CサイズのXシリーズでは35mm版換算で75mmは中望遠レンズの分類になるのだが、実はこれが面白い。
一般的にレンズはセンサーサイズによって画角が変わるものの、ボケ感(被写界深度の浅さ)は焦点距離に依存する。つまり、APS-Cの標準である35mmのレンズのボケ感は、フルサイズの標準の50mmレンズよりもフルサイズの広角35mmに近い。ボケ感でそんなに写りに違いが生じるのか?と感じる人いると思うが、35mm版換算50mmという標準画角のレンズの描写を比べてみても、マイクロフォーサーズの25mm、APS-Cの35mm、フルサイズの50mm、ラージフォーマットの63mmとでは多かれ少なかれ写りの印象が違う。
ということからも、35mmフルサイズに慣れ親しんでいる人にとっては「フジノンレンズ XF50mm F2 R WR」は、中望遠なんだけど標準っぽいレンズに感じる。標準のように撮るといつもより寄れている感覚がある。そして50mmという焦点距離のレンズは個性が豊かなレンズが多いので、ボケが中望遠っぽくない。良い意味で背景が残る。
そして余談だがもう一点APS-Cサイズの特徴をあげるとしたらそれはシネマライクであるということ。映画の世界で標準となっている35mmフィルムサイズ。俗にいう「スーパー35mm」というフォーマットは、サイズこそ同じ35mmフィルムであるがフィルムを横に流す写真に対して映画ではフィルムを縦に流す。ちょうどこのサイズがAPS-Cとほぼ同じなのだ。つまりAPS-Cサイズのカメラ(Xシリーズ)のボケ感や被写界深度の移り変わりは映画の35mmフィルムの描写に限りなく近いのである。
小口径のオールドレンズを彷彿とさせる描写。
よく「フジノンレンズ XF50mm F2 R WR」は描写が硬いためポートレート撮影などには向かないなどと言われることがある。第一世代の「フジノンレンズ XF56mm F1.2 R」と比較すると線も太く、かっちりとした印象だ。そのため良くも悪くもプロビアやベルビアなどのリバーサルフィルム系で撮影すると色乗りが凄くよいので、ストリートスナップでは印象的な一枚が撮れる。しかしこれが女性のポートレートなどではどうか?という点が問題視される。
ただ女性のポートレートを柔く撮る、、、というのはあくまでも一般論で、もちろん硬い描写で魅力的な女性のポートレートを撮る写真家もたくさんいる。極論は好みの問題なのである。でもどうしても「フジノンレンズ XF50mmF2 R WR」で柔らかめの写真が撮りたいという場合には、柔らかめのネガ系フィルムシミュレーションと組み合わせると程よく腰が残る描写になる。良い意味でほんわかしないので、コントラストがありながらも鮮やか過ぎず、白が際立つ雰囲気に仕上げることができる。フィルムシミュレーションは好みもあると思うが、レンズのタイプに合わせてうまく利用すればいろんな状況で良い結果を得られる。
これも余談だが、フィルム写真時代から写真の画質はレンズ、フィルム(センサー)、印画紙の3つの要素によって成り立ってきた。レンズに硬調・軟調があるようにフィルムや印画紙にもそれがある。つまり描写の硬いレンズにあえて軟調のフィルムを組み合わせて、硬調の印画紙で仕上げるようなやり方もあるのである。3段階で調子をコントロールすると思えば2×2×2通りの組み合わせが存在するのである。これはデジタルになってもかわらない。
明瞭度で描写をコントロール
また「FUJIFILM X-Pro3」や「FUJIFILM X-T4」の第四世代のデバイスを搭載したカメラでは、カメラ内現像で使用できる画質設計に新たにカラークローム設定や明瞭度などが加わった。これらをうまく利用すれば、コントラストが高い中でも飽和しそうな色を抑えたり、明瞭度でもって描写の線の太さをコントロールできるようになった。
このように明瞭度をマイナスに持っていけば、ソフトフィルターをかけたような柔らかい描写に、硬さも緩和される。使い方によってはオールドレンズを付けたような描写も演出できる。逆に明瞭度をプラスに持っていけば、より線が太くなり、絵画的な印象の強い写真に仕上げることができる。
クラシック系との相性が良い
近年追加されたClassic Neg.などのフィルムシミュレーションは全体的にはコントラストがしっかりしててもアンダーが少し持ち上がる傾向にある。 こういうフィルムシミュレーションではコントラストの強めな「フジノンレンズ XF50mm F2 R WR」など第二世代が相性が良い。太めの描写が良い意味で活かされる。アンダーが少し持ち上がること繊細さも若干感じられる。
「フジノンレンズ XF50mmF2 R WR」は現代向けのレンズ
中望遠レンズというとやはりポートレートなどをメインで使いたい人が多いと思う。しかし、APS-Cの50mmは画角こそ35mm換算で75mm相当となるが、フルサイズの75mmレンズに比べて背景に像が残る。そういう意味でスナップ撮影では一般的な中望遠よりも情報量が多くボケが抑えられていて使いやすい印象だ。
「フジノンレンズ XF50mm F2 R WR」は、XFレンズの中では線が太めで硬い印象だと言われるレンズだが、昨今の富士フイルムのフィルムシミュレーションの傾向からみると、アンダーに色が被ったり彩度が低めのオールドスタイルのカラープロファイルが増えてきているので、もともともコントラストの高い「フジノンレンズ XF50mmF2 R WR」はこのあたりのフィルムシミュレーションと相性がとても良い。 価格もXFレンズの中では比較的安い方なので、XF23mmF2、XF35mmF2と合わせてとてもおすすめなレンズだ。
今回使用したカメラ↓
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