「フジノンレンズ XF30mmF2.8 R LM WR Macro」実写レビュー
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マクロレンズの常識を覆すコンパクトプライム「フジノンレンズ XF30mmF2.8 R LM WR Macro」。軽量なデザインに換算46mm、どこまでも寄れる標準レンズを実写レビュー。アウトドアで登山やハイキング、自然観察などのお供に最適なレンズだ!
機動力抜群の「フジノンレンズ XF30mmF2.8 R LM WR Macro」

まず、このレンズについて語る際に、多くの人が最も気になるであろう点から始めたいと思う。
富士フイルムのXシリーズといえば、適度にクラシカルなデザインが残されており、物としての価値を感じさせるプロダクトに魅了される人も少なくないはずだ。しかし近年のデザインでは、軽量化に伴い、一部にプラスチック素材を使用したレンズも増えている。そして「フジノンレンズ XF30mmF2.8 R LM WR Macro」は、その外装の大部分がプラスチック素材で構成されている。これは単なるコスト削減のためなのか?それとも別の意図があるのか?
約195gの軽量レンズ

まず驚くべきは、このレンズの重量だ。11枚のレンズが使われているのにも関わらず、中望遠の「フジノンレンズ XF30mmF2.8 R LM WR Macro」よりも僅かに軽い。レンズフードをつけた状態でも「フジノンレンズ XF60mmF2.4 R Macro」に比べかなりコンパクトに感じる。この点からも「フジノンレンズ XF30mmF2.8 R LM WR Macro」が屋内でのマクロ撮影用ではなく、持ち運びを前提に設計されたことが分かる。できる限り荷物を軽くしたいアウトドア用途には最適だろう。
しかし、“物の存在感” を求める人にとっては、どこか物足りなさを感じてしまうのも事実だ。いっそのこと、多少重くなっても外装は金属にしてほしかったと思うほど。あるいは、クラシカルなレンズのように沈胴式にするなど、純正レンズの枠を超えたデザインに挑戦してほしかった。
最短撮影距離は10cm

一方、性能に関しては申し分ない。一般的な標準レンズの撮影倍率が約0.16倍であるのに対し、等倍マクロ(センサーに写る被写体の大きさと実際の大きさが等しいレンズ)である「フジノンレンズ XF30mmF2.8 R LM WR Macro」は当然ながら1倍の撮影が可能だ。
センサーから被写体までの最短撮影距離が10cmということは、レンズ先端からはわずか1.2cmまで寄れることになる。実際に使用してみると、被写体がレンズの影に隠れてしまうほどの接写が可能で、体感的にはほぼどこまでも寄れる印象で、撮影できない範囲がないと言っても過言ではない。
標準レンズとしての可能性

「フジノンレンズ XF30mmF2.8 R LM WR Macro」の最大の特徴は、標準等倍マクロという仕様にある。
一般的にマクロレンズといえば望遠域のものが多い。そのメリットとしては、被写体と距離がとれる望遠レンズでは、被写体に寄った際に適度なパースで自然な描写を得られる点にある。それと比べると標準等倍マクロの場合は、商品など形がシンプルな被写体では、近づき過ぎるとパースが強くなって不自然な印象を与えてしまうというデメリットもある。
しかしながら、標準等倍マクロには広い画角が使えるという最大のメリットがあるのだ。さらに「フジノンレンズ XF30mmF2.8 R LM WR Macro」はリニアモーターを搭載しているおかげで、マクロ域から標準域にかけて静音かつ迅速にピントが合う。
35mm判換算で46mmの画角

35mm判換算で46mm相当の「フジノンレンズ XF30mmF2.8 R LM WR Macro」は、標準よりわずかに広めの画角で、スナップ撮影に最適。暗めのパンフォーカス気味のレンズだとしても、見た目の印象に限りなく近い画角は非常に魅力的である。特に風景撮影をする人にとっては、画質がしっかり担保されつつ、被写界深度も深いため、とても使いやすいレンズと言えるだろう。
ヨリとヒキを1本で演出


また筆者がこのレンズを手にして、真っ先に試したかった撮影術が「ヨリとヒキ」だ。
人の知覚の基本は、「遠くから見て ‘何だろう?’ と認識し、次に寄ってディテールを確認する」という流れの連続で成り立っている。「フジノンレンズ XF30mmF2.8 R LM WR Macro」は、一般的な人間の視野(距離感)を確保しながら、どこまでも寄れる。そのため、この一本でヨリとヒキの両方を自在に表現することができる。
例えば、昨今話題の「PENTAX 17」のように、ハーフサイズカメラと同じ距離感で撮れるAPS-Cサイズの特性を活かし、2枚1組でヨリとヒキを組み合わせてみると、一気に記録性や芸術性が増した作品に仕上がる。
特にマクロレンズというだけあって、「フジノンレンズ XF30mmF2.8 R LM WR Macro」のマクロ撮影では、とろけるような美しいボケを味わえる。それでいて、絞り込んでも画質が落ちない設計になっているため、多彩な表現が可能だ。






見たまま記録する最高の一本


以上の点を踏まえると、「フジノンレンズ XF30mmF2.8 R LM WR Macro」はこんな人におすすめだ。
- デザイン重視で、ファッションとして身につけたいレンズは別にある!
- だけど、アウトドアなどで実用的にガンガン使えるレンズが欲しい!
- 機能性を最優先したい!
- マクロならではの美しい描写を堪能したい!
特に、登山やアウトドアで装備をできる限り軽くしつつ、遠景から近景まで楽しみたい人にはぴったりの一本。また、本編では触れなかったが、リニアモーターによる静かなAFを活かして動画撮影をしたい人にも最適だろう。
今回使用したカメラ↓
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